「夢を育む」トキワ荘のヒーローたち

紙芝居「『夢を育む』トキワ荘のヒーローたち」が完成し、5月24日(水)に区民ひろば千早で初公開された。

これは区民ひろば千早を運営するNPO法人はばたけ千早の語り部(かたりべ)部会が4年の歳月をかけて完成した力作。昭和20年代から30年代にかけて、西武池袋線東長崎駅からほど近いアパート、トキワ荘に集った若手漫画家たちの青春物語だ。

最初に短期間トキワ荘に住んだ手塚治虫氏の後を追って、寺田ヒロオ、鈴木伸一、森安なおや、水野英子、よこたとくお、藤子F不二雄、藤子不二雄A、赤塚不二夫、石ノ森章太郎などの各氏などが次々とトキワ荘に移り住んだ。切磋琢磨して漫画を書いたり、共作したり、手伝ったり、さらには飲食をともにし、議論をし、ともに遊び、いたずらし合ったりした漫画家の卵たちの物語である。

各氏は皆、日本を代表する漫画家に成長し、そして日本のマンガ、アニメは世界に広がって、日本文化、クールジャパンの礎を築いた。これらの人々のマンガに影響を受けなかった日本人はおそらく皆無だろう。

紙芝居の制作は難航を極めた。多くの人たちやプロダクションから許可を得て、著作権などをクリアしなければならなかった。専門家の話を素人である別所さんが絵に描くことも大変だったろう。

当日は多くの来賓に混じって、トキワ荘の紅一点のヒロインだった水野英子氏が駆けつけてくれ、完成を祝ってくれた。水野氏が「できるかしらと思った」、完成に向けた「情熱には感激した」と語ってくれたことには、すべての関係者が感無量の面持ちだった。

地域の力、NPOの力を改めて示したこのささやかな快挙は多くのマスコミにも取り上げられた。豊島、千早の名前がマンガの聖地となったトキワ荘とともに、人々の、そして子どもたちの記憶に残っていくことを期待したい。